日本の星の伝説について

野尻抱影著『星座と伝説』は、西洋の星座と神話について子供向けにもわかりやすく書かれた本で、多くの人に読まれたもののようです。神話のヒーローやヒロインたちのドラマチックなストーリー。神々も人も最後は星となって天に昇るという大きなスケールの物語は、いつの世も、少年少女たちをとりこにしてきました。けれど、日本にはなぜああいう物語がないのだろう……それは日本の少年の一つのコンプレックスでもありました。

百科事典を紐解く……というかマウスでクリックしてみますと、紀元前3000年の古代オリエントのころ、牧羊民族たちが季節の変化を知るための12の星座というのが定着していたそうです。紀元前後のローマの詩人、オウィディウスの『転身物語』で、主要な星座物語は今の形になったということで、じつに古い話です。

「転身」という考え方が日本と西洋で違うのかなという気がします。日本では輪廻という考えもあって、人間が人間にに生まれ変わってしまうのです。人間が新しい時代の人間に生まれ変わるということは、祖先から子孫まで同じ何かが続いているという意識、祖先を重視する日本人の考え方に結びついてくるのかもしれません。

輪廻では動物にも生まれ変わりますが、木に化生するというのは常陸国風土記のをとめの松原の話が有名です。
石に化生するというのは高野山の途中にもあるという姥石……女人禁制の山を登ろうとした女が石にされてしまったともいいますが、ロマンチックな話ではありません。
そうやって目に見える形で残っているのは不幸な死に方をしたケースです。普通は盆でも正月でも、亡くなった人の霊を呼ぶ方法はいくらでもあるわけですから、普段から多くの人の目にさらされるような物体に身を変えなくてもよいわけです。

日本の神話に出てくる天香香背男(あめのかがせを)という神は、最初から星の神のようにも見えます。けれど高天原の神とは違うようです。この神のことはまだよくわかりません。
「星の伝説」のカテゴリーを設けてみました。西洋の星座も、季節を知るための智恵からおこったということですから、日本におけるそういう星の伝説の例を探して、取り上げてみたいと思います。
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