神話の森のブログ

日本の神話や民俗、また近世農村研究

丑三つ時の歌


昔の時刻の数え方は、日の出から日没までを6等分し、さらに日没から日の出までを6等分し、1つを一時(いっとき)と数えました。一時は今の約2時間のこと。(詳細は7月8日の記事を参照)
また、夜中の0時から子(ね)、丑(うし)、寅(とら)と数える場合もあり、「子(ね)の刻」とは今の午前0時ごろのこと。ただし前後の1時間づつを含めて午後11時から午前1時までが「子の刻」です。「午」の刻が「正午」前後です。
一時(いっとき)の半分が半時(はんとき)で、約1時間のこと。または一時を4等分して、「丑一つ」、「丑二つ」と数え、「丑三つ」は午前2時から2時30分くらいのことになります。「草木も眠る丑三つ時」などといいます。

平安時代のころ、良岑宗貞(よしみねのむねさだ)という人がいて、良少将と呼ばれていました。ある夜に女と逢う約束をしたのですが、丑三時になっても女の元に現れません。そこで女は、憂し(うし)と思って、少将に歌を届けました。

 人心うしみつ今は頼まじよ
 (人の心が憂し(憎い)と見えたので、今は当てにしません)

すると少将はこんな歌を返して来ました。

  夢にみゆやと寝でぞ過ぎにける
 (あなたと逢う夢を見ようとちょっと寝ていたら、寝過ぎてしまいました)

「寝過ぎ」と「子過ぎ」をかけたシャレというわけです。
7月5日に紹介した「寝坊をしないための歌」を知っていれば良かったのかもしれません(笑)。

女の歌は「5・7・5」、少将の歌は「7・7」で、合わせて「5・7・5・7・7」になります。こういう二人でやりとりして短歌の形式になる和歌を「連歌(れんが)といいます。
この話は後世の『八雲御集』などに載っているもので、事実の話ではないかもしれません。

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