鳥取市の千代(せんだい)川の西の地域を、古くは高草(たかくさ)郡といった。高草とは竹のことである。昔この地の竹林に、老いた兎が住んでゐた。あるとき千代川の大洪水がおこり、竹林は根こそぎ流されたが、兎は竹につかまって漂流し、隠岐島に流れ着いたといふ。この兎が、のちに大国主命に助けられる因幡の兎である。(風土記逸文) ○鰐(わに)の背に似たる岩見ゆ、蒲(がま)ならぬ浪の花ちる気多(けた)の岬に 北里蘭翁