吉水神社

吉野町吉野山

 文治元年(1185)源義経は、京を追はれて一時吉野に潜んだ。今の吉水(よしみづ)神社の地である。やがて義経は奥州へ旅立ち、静御前とはここで別れたといふ。静御前が鎌倉に連行されて鶴岡八幡宮で舞ったときの歌。

 ○吉野山、峯の白雪踏み分けて、入りにし人の跡ぞ恋しき     静御前

 吉水神社は古くは吉水院といふ名の修験の寺だったが、南北朝時代に後醍醐天皇がここに行宮を置いたことから、明治初期に後醍醐天皇をまつる神社となった。

 ○花にねて、よしや吉野の吉水の、枕の下に石走る音       後醍醐天皇

 文禄三年には豊臣秀吉が、ここで盛大な花見の宴を催したこともある。

 ○年月を、心にかけし吉野山、花の盛りを今日見つるかな     豊臣秀吉