雀の長者

 呉羽山麓・長岡村の雀の長者と、礪波郡別所の七山長者とが、お互ひの財宝の自慢をしあったとき、なかなか勝負がつかないので、宝の隠し場所を当てる賭けをすることになった。二人は謎かけ歌を示した。

 ○一月また一月、両月ともみな半遍、何ほどの無量のつみかあるとても、

    みのほどまゐれ、助けたまふぞ               七山長者

 ○うるし千杯種千杯、黄金の鶏がひとつがひ、

    朝日かがやく夕日さす、みつはうつぎの下にある       雀の長者

 雀の長者は、歌の謎を見破られて隠し場所を当てられ、全財産を取られて一夜のうちに滅びたといふ。