桜井王

磐田市中泉 府八幡宮

 天武天皇の曽孫・桜井王が遠江国司として赴任した時、国府内にまつられたのが、府八幡宮(磐田市中泉)の始りであるといふ。万葉集に、桜井王が遠江国から聖武天皇に贈った歌があり、何かの了解を求めて請願したときの歌のやうである。

 ○長月(ながつき)のその初雁(はつかり)の使にも、思ふ心は聞こえ来ぬかも        桜井王

 聖武天皇は、遠州灘の長浜の地名を歌に詠んで、すべて任せたと答へてゐる。

 ○大の浦。その長浜に寄する波。ゆたけく君を思ふ。この頃     聖武天皇