三島の神

伊豆、伊豆諸島

 下田市白浜の伊古奈比咩(いこなひめ)神社は、三島大明神の后神をまつるといふ。その白浜の地が、平安初期の延喜式名神大社の伊豆三嶋神社のあった旧址であるらしい。今の三島神社{大社}は、平安中期以降にここから伊豆国府のあった今の三島市の地へ遷ったものといふ。

 ○あはれとや三島の神の宮柱、ただここにしもめぐり来にけり    十六夜日記

 伊豆の三島神社は、最古のものは三宅島にまつられたといふ。伊予の三島明神の分れとされるが、伊豆諸島では三島の神は事代主(ことしろぬし)神とされることが多い。火山列島の伊豆諸島に住む人々は、御神火を恐れて暮らしてはきたが、事代主神が火山の噴火のたびに島を広げてくださるといふ信仰があるといふ。

 三島明神の主な后神は次の島にまつられてゐる。

  波布比売(はぶ大后)  波布比売命神社 大島

  伊賀牟比売(伊古奈比売)  后神社   三宅島伊賀谷

  佐岐多麻比売  御笏神社  三宅島神着

  久爾都比売(泊御途口大后明神)  泊神社   新島

  阿波売命(三島神社の本后)  阿波命神社   神津島