伊豆山神社

熱海市伊豆山

 むかし熱海の洞窟から湧き出た温泉を、「走湯(はしりゆ)の湯」といった。滝のやうに激しく湧き出してゐたらしい。

 ○伊豆の国、山の南に出づる湯の速きは神のしるしなりけり     玉葉集

 その地に浜宮として走湯神社がまつられ、山を登ると本宮の伊豆山神社がある。ここの森は「古古比(ここひ)の森」といはれた。ココヒとは「かがひ」(歌垣)のことだらうといふ。

 ○五月闇ここひの森のほととぎす、人知れずのみ啼きいたるかな   兼房朝臣

 伊豆山神社の神木の(なぎ)の木の葉は、男女の仲を結ぶなどのお守りとされる。葉脈が切れにくいからだともいふ。

 ○今度ござらば持て来てたもれ、伊豆のお山のなぎの葉を