面影橋

新宿区早稲田

 明応のころ、高田の里に生まれた於戸姫(おとひめ)といふ美しい女が、嫁いだ夫と、横恋慕してきた夫の友人との争ひから二人を死なせ、里へ帰って、神田川の橋のたもとで行きつ戻りつして、橋から身を投げたといふ。新宿区早稲田の面影橋である。

 ○変りぬる姿見よとや、行く水のうつす鏡の影にうらみし       於戸姫

 ○限りあれば月も今宵は出でにけり。今日見し人も今は亡き世に    於戸姫

 面影橋のたもとには太田道潅ゆかりの「山吹之里」の碑がある。

 ○七重八重花は咲けども、山吹のみの一つだになきぞかなしき