都鳥

隅田川

 むかし在原業平が東国を旅したとき、隅田川の船から鳥が見えたので、何といふ鳥かと船頭に聞くと、「都鳥」だと答へた。都といふ言葉に京のことが想ひ出されて、歌を詠んだ。

 ○名にし負はばいざ言問(ことと)はむ。都鳥。わが思ふ人はありやなしやと   在原業平

 言問(こととひ)橋、業平橋の付近(向島)の牛島神社や三囲(みめぐり)神社を詠んだ歌句。

 ○牛の御前、言問橋もうつりけり。移りがたしも。わが旧ごころ    釈迢空

 ○夕立や田を三囲りの神ならば    (雨乞の句)         其角