碓氷峠

 ○日な曇り碓氷の坂を越え(しだ)に、(いも)が恋しく、忘らえぬかも    万葉集

 ○碓氷嶺の南おもてとなりにけり。くだりつつ思ふ春の深さを   北原白秋

 江戸時代の記録によると、碓氷峠の昇りくちに数字だけを書いた歌碑があった。「一つ家の碑」とよばれ、武蔵坊弁慶の作だといふ。

 ○八万三千八三六九三三四四  一八二四五十二四六 百々四億四百

 (やまみちはさむくさみししひとつやによごとにしろくももよおくしも)

 (山道は  寒く 寂しし 一つ家に 夜毎に 白く 百夜 置く霜)

 義経弁慶の主従が奥州へ下るときに、ここで仮泊したときの歌だといふ。別の記録によると少しが文字が異なるが、註記なしで読めるだらう。

 ○八万三千八三六九三三四七  一八二四五十三二四六 百々四億四百