最上川

 山形県を貫いて流れる最上川は、古代から水運に利用された。

 ○最上川のぼればくだる鯔舟(いなぶね)のいなにはあらず、この月ばかり   古今集

 鯔は海と川を往復し、また成長の段階で呼び名の変る出世魚で、大きくなるとボラ、最大のものはトド(「とどのつまり」のトド)といふ。

 最上川は清川の合流するあたりが狭い峡谷となってゐて、最上峡といふ。

 ○五月雨をあつめて早し、最上川                芭蕉

 むかし平泉へ落ち延びてゆく源義経の一行が、船でこの峡谷を行くと、滝が見えたので、北の方が詠んだ。

 ○最上川瀬々の岩波せきとめよ。寄らでぞ通る白糸の滝