はじめに(WXGからMSIMEへの移行)

WXG(AIソフト社)といふ日本語IMEを、旧バージョンのWX2の時代から長く使用してきたが、次の理由で、MS-Windows添付のMSIMEをも使用することにした。

 1、WXGでは使用者が少ないので専門辞書の公開も意義が薄い。
 2、10年、20年先のことを考へたら、旧製品しか使用してゐないと心配である。

WX2を使用し始めたころ、歴史的仮名遣での漢字変換辞書を作成し、その辞書は現在もWXGにコンバートして使用してゐる。MSIMEでの歴史的仮名遣での変換については今後の課題とし、さしあたっては、専門用語辞書を整へることとした。

歴史的仮名遣辞書の元となった現代仮名遣の辞書が保存してあるので、そこからユーザー登録単語を抜き出してMSIMEに一括登録を試みたら、ユーザー単語は3万語を超える量だった。そのリストを眺めてみたが、あまり専門用語辞書とはいへない内容かもしれない。
なぜこのやうに多量となったかにはわけがある。それはWX2→WX3→WXGというコンバートの経緯の以前にも、文豪ワープロ(NEC)→松茸(管理工学研究所)というコンバートの歴史があり、それぞれの漢字変換システムで異なる文法処理を考慮できずに、適当な品詞を決めてコンバートしつづけたためである。さらに、松茸、VJE、NEC漢字変換などの「システム辞書」からもごっそりWX2に新規登録したことがあり、大量となったやうにも思ふ。個人的に使用するのであれば、そのままでも問題はないのだが、そのまま公開のための専門用語辞書にするにはためらひがある。
そこでMSIMEのユーザー辞書は、ゼロから構築することにした。旧ユーザー辞書からは、必要となるものだけを抜き出して利用するのが良からうと思う。

3万語のリストをちょっと眺めて見ると、今のMS-IMEではこんな単語も変換できないのだらうかと思ふやうなものがいくつもある。実際に変換してみると、やはりできない。パソコンの世界では、ハードウェアはどんどん進化し、ソフトウェアはますます多彩なものとなってきてゐるが、少なくともIMEのボキャブラリーに関しては退化することもありうるのだらう。それは20年前と今の新聞雑誌の文章やら世相やらを比べてみれば、じゅうぶん想像のつくことである。(平成18年5月)